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知恵者

去年より10日あまり遅れて、鉢植えの水仙が一輪だけ花開いた。
ちょっと横向きに咲いたところは、どこか気恥ずかしそうでもある。
まわりには、黄い味を帯びたつぼみが7,8輪、今や遅し、というふうに待ち構えている。この様子だと、午後あたり、陽気に誘われていっせいに咲くかもしれない。

天気予報によると、きょうの都心は4月中旬並みの暖かさになるとか。
季節を一月半ほど進めた風だが、朝の予報で「朝晩はひんやり」とテロップが出ていたのには苦笑させられた。
いくら日中の気温が上がるとは言え、この時季に「ひんやり」という言葉はないだろう。

そう表現したくなるほど、日中の気温が上がる、ということを言いたかったのかもしれないが、もっとほかに言い様はなかったか。
表現の貧困という言葉がよぎった。
朝の気温は3度で、ひんやりどころではない、冬の寒さが続いている。

ひんやりというのは、夏の暑さが和らぎ、朝晩が涼しく感じられる様を言い表す秋の季語である。
冬の終わりとはいえ、この時季に使用する言葉ではない、と言おうとして、ハッと手を止めた。

もしかしたら、気象予報士さんは、季語をわざと誤用し、きょうの馬鹿陽気を伝えたかったのかもしれない、と。
だとしたら、なんという策士、知恵者であろうか。
真偽の程は当人に確かめるよりないが、気象予報士たるもの、季語には敏感であってほしいと思ったことではある。

ここ何週間か、書き物に徹していて、気分転換を兼ねて、ブログを更新することにしたのだが、書き始めると、いろんな思いが乱れ揺らめいて、脳を休めるつもりがかえって神経をとがらせる羽目になった。
気分転換、と言うなら、何よりもパソコンから離れ、春風に肌をなぶらせるのが一番だろう。




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2023/02/28 09:00 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)

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