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創作ノート~紙

花影』の表紙の絵は、私の描き下ろしです。
原画に使ったのと同じ紙を、表紙カバーに使っています。
ざらざらとした手ざわり感は、電子書籍では決して味わえないものです。

私自身、紙の触感質感色合いが好きなこともあって、
花扇画にしても、扇子にしても、
いちばん神経を使うのが紙選びです。

紙が決まった時点で、
私の仕事の半分はすんだようなものです。
いかにして、紙の美しさを引き出すか、
私の興味、関心はそこにあります。

ただ「紙」といっても、和紙にこだわっているわけではありません。
洋紙でも、和紙にはない質感、色合いがあって、
表紙に使ったのは、「せんだん紙」という洋紙です。

ざらざらした質感が、
合歓の花の繊細さを引き出すのにぴったりで、
実際に花の先端が震えているかのように見えるのは、
紙の凹凸の妙に拠るところが大です。
あらためて紙の底力を思い知らされました。

せんだん紙に描いた『花合歓〈馨〉』を紹介します。
作品の大きさは19×26・6㎝の小品です。

             花合歓〈馨〉 花扇画 角判
                花合歓〈馨〉


2012/08/22 07:43 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)

中秋の名月 詩~月に恋

今日、発売の“こころとからだの健康マガジン”『パンプキン』(潮出版)に、
私の花扇画『月の香』が紹介されています。

中秋の名月にちなんだ、
竹林の上空に満月がかかっている絵です。

詞書(ことばがき)ととともに、作品を紹介します。
あわせて、季節の詩も添えて。

              月の香
              月の香  60×27・6㎝

         月光に照らされて、竹林が浮かび上がる。
         緑の葉がしたたるようで、
         こちらの気持ちまで、しっとりと濡れてきそうだ。
         耳を澄ますと、かすかに葉ずれが聴こえてくる…。
         空気、風、香り、音色……
         目には見えないけれど、確かに感じられる自然の息吹。
         それを描きあらわすにはやはり、心の眼を研ぐしかないのだろうか。
         しばし筆をおき、目を閉じて、五感を働かせてみる。
         涼やかな風のしらべ、
         しめやかな秋の鼓動が感じられないものかと、
         ひそかに願いながら…。



    月に恋         
         
    月に黄色い暈(かさ)がかかっているのを見て、
    恋の涙にうるんだ少女の目、を連想した、
    若き詩人がいたそうな。

    恋に涙する青春を大切にしよう。
    月の暈に、少女の涙を思う詩ごころをよろこびあおう。
    そして愛されるよりも、
    愛することの尊さを教えてくれたあなたに、
    皎々たる月光のきらめきを贈ろう。

    きのうとは打って変わった、
    きょうは目にもさやかな満月だから、
    誰はばかることはない、
    二人だけで月見の杯を酌み交わそう。

    お酒に弱いあなたのことだ、
    ほんのひと口含んだだけで、
    目もとはほんのりと赤らみ、
    まるで月に恋したような恥じらいを浮かべるだろう。


2012/08/20 07:47 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)

不即不離

ブログを立ちあげたのに続いて、
フェイスブックを始めることにしました。

私の仕事を、多くの人に知ってもらいたい、という理由からだけでなく、
もの書きとして、新たな見識を広め、刺激を得たいとの思いからです。
(といって、安易に間口を広げるつもりはありませんが)

扇子や絵と同じように、
文章を書くことは、自らを証明する大切な表現手段となっています。
書く」ことと「描く」こと。
この二つは私にとって、いわば車の両輪みたいなもので、
不即不離の関係にあります。

「器用貧乏」と言われないよう、自らの作品に責任を持ち、
自分の色、自分の言葉で、
だれも真似ができない、
オリジナルの世界を創りたいと思っています。


2012/08/19 18:20 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)

創作ノート~落款

扇子や花扇画に捺(お)している、私の落款(らっかん)は英語である。
a」「r」「t」の三文字を組み合わせ、
tar」と「art」の掛け言葉になっている。

tar」は私の子供のころからの愛称である、「たあ」ちゃんの意。
art」はアート、芸術。

パリ、ミラノ、ニューヨークで個展をやりたいというのが、
当初からの念願だったことから、
英語による落款、ロゴを思いついたが、
扇子や花扇画に使ったら、しっくりとおさまり、
自分でもすっかり気に入った。

これからは、
「Tar扇子」の名前とロゴを、
ブランド化していきたいと意気込んでいる。

落款・サインシール
落款、サイン

2012/08/17 07:48 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)

私の芸術観

私は基本的に、芸術は人の心を癒したり、ときほぐしたり、勇気づけたりする、
ポジティブなものであるべきと考えています。

平易な文章で、平易な語り口で、人々の胸に訴えかける、問いかける、
そこに芸術の芸術たるゆえんがあると信じています。

少なくとも、私個人はそういう姿勢だけは崩したくないと思っています。
扇子や花扇画もおなじ思いで描いています。

夏の花である合歓の二作品です。

        花合歓〈幽〉      幽花
        花合歓〈幽〉             幽花 

2012/08/04 09:07 | COMMENT(0)TRACKBACK(0)