創作ノート~紙
『花影』の表紙の絵は、私の描き下ろしです。
原画に使ったのと同じ紙を、表紙カバーに使っています。
ざらざらとした手ざわり感は、電子書籍では決して味わえないものです。
私自身、紙の触感、質感、色合いが好きなこともあって、
花扇画にしても、扇子にしても、
いちばん神経を使うのが紙選びです。
紙が決まった時点で、
私の仕事の半分はすんだようなものです。
いかにして、紙の美しさを引き出すか、
私の興味、関心はそこにあります。
ただ「紙」といっても、和紙にこだわっているわけではありません。
洋紙でも、和紙にはない質感、色合いがあって、
表紙に使ったのは、「せんだん紙」という洋紙です。
ざらざらした質感が、
合歓の花の繊細さを引き出すのにぴったりで、
実際に花の先端が震えているかのように見えるのは、
紙の凹凸の妙に拠るところが大です。
あらためて紙の底力を思い知らされました。
せんだん紙に描いた『花合歓〈馨〉』を紹介します。
作品の大きさは19×26・6㎝の小品です。
花合歓〈馨〉
2012/08/22 07:43 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0)