紹興酒開眼
昨夜は久しぶりに、
足立美術館館長と妹の大久保さん、学芸部長の安部君、そして某テレビ局のN・Iさんの五人で、
麻布十番にある中華料理店『富麗華』で酒宴をくりひろげた。
私は数ある酒の種類の中で、紹興酒だけは苦手だったので、
ビールで乾杯した後は、ハイボールを注文したが、
館長に強く勧められ、一杯だけ、付き合うことにした。
私の紹興酒嫌いは三十数年来のもので、
あの独特の香り、風味が苦手で、
初めて口にした時、もう二度と飲むまいと決めたほどであった。
それほどの筋金入りにもかかわらず、
昨夜、口にした紹興酒は、
私のそれまでのイメージを一変させた。
変な臭みがなく、どこかブランデーを思わせるような風味で、
気が付けば、私が一番多く、盃を重ねていたのは、
自分でも呆れ返るほどの激変ぶりであった。
聞けば、その紹興酒は八年物で、
私が以前、口にしたものとは別次元のまろやかさであり、
おかげで、私にとって「紹興酒開眼」の夜とあいなった。
当然のことながら、料理もすすみ、
中でも、中国の野菜で、少し苦味の入った「芥蘭菜(がいらんさい)」は絶妙な新鮮さで、
酒との相性が抜群であった。
おかげで、私にしては珍しく出されたコース料理を完食した。
これには館長もびっくりで、あらためて紹興酒の底力を見直した風であった。
料理に舌鼓を打った後は、
部屋のドア越しに、楊琴(ヤンチン)の生演奏が供され、
しばし癒しのひとときをも味わった。
その余韻を引きずりながら、
なじみの銀座のデイ・ハートマンに繰り出したのは、いつものご愛嬌だが、
数十年吉日、健康で、おいしくお酒を飲める幸せを、
みんなの顔を見ながら、あらためて噛みしめたものであった。
2015/09/01 10:20 | COMMENT(0) | TRACKBACK(0)